ファーストコンタクト
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2-7人。40分-。
言葉が通じない相手とのコミュニケーションがテーマ。
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オーストラリアにやってきたイギリス人が、原住民族アボリジニに、尾の長い飛び回る動物を指して「あの動物は何?」ときいたところ「カンガルー」と答えた。
それからその動物はカンガルーと呼ばれるようになったが、実はアボリジニ語で「カンガルー」は「分からない」という意味。
イギリス人の問いに「カンガルー(分からない)」と返事したのが、誤解されてそのまま名前になってしまった。
異文化の言語のやりとりはむずかしい。
そんなゲーム。
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年末年始遊んだゲーム第3弾。
年末年始遊んだゲーム 今回の盛り上がり度
ブラッドバウンド ★★★★
アヴァロン ★★★★
マンカラ ★★
シャドウレイダース ★★
ブラフ ★★★★
テーベ ★★
ファーストコンタクト ★★
コンプレット ★★★
10デイズインUSA ★★
思い出を手にのせて ★★★
インカの黄金 ★★★
オークション狂騒曲 ★★
ざっくりルール
宇宙人サイドと人間サイドに分かれる。
宇宙人サイドに一人、地球人サイドに一人、勝者が出るゲーム。
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5×5で様々な物品を置く。
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宇宙人はこういう
・今回使うウチュー文字表と
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裏表印刷でたくさんある
・当ててもらう物品の位置を示したカード
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をついたての裏に置く。
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以下、①と②を繰り返す。
①人間がウチュー文字を教えてもらうフェイズ
物品カード1-5枚を指定して、それらを示す性質のウチュー文字を一つだけ教えてもらう。
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人間の知りたい文字の意図をくみ取って一文字で伝える。
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人間は自分のメモパッドを利用して整理。意味が分かる文字を集めていく。
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宇宙人同士で
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指定されたカードの感じ方によって割れることももちろんある。
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そもそもの人間サイドの意図とあってないこともありうる。
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こうなると悲劇
②宇宙人が自分のほしいものを人間にお願いするフェイズ
人間全員が1回ずつ質問したら
宇宙人は欲しい物品を、ウチュー人文字で表現して、人間にお願いする。
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人間はこれまで集めた情報で、お願い文を解読して、これだと思うものをそれぞれ選ぶ。
正解した人間は1ポイント。
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もらえるチップ 宇宙人別に3色
これを順番に宇宙人全員が行う。
宇宙人プレイヤーの誰かが欲しいものを3つ、もらえたらゲーム終了。
宇宙人サイドでは、3つの品物をもらえたプレイヤーが勝利。
人間サイドでは、一番品物を当てていたプレイヤーが勝利。
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好きなルール
・"not"をあらわす記号
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言語学っぽいことやってる!みたいな感じが出てるし
システム面でもゲームをスッキリさせてる。
似たようなゲームを作ろうと思っても
このアイデアはなかなか思いつかないと思う。
・宇宙人は今まで出てきてない文字を使ってもいい
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未知の言語に挑戦してる!って感じが出る。
新出の文字が出てくるとむしろワクワクする。
物品カードのラインナップとにらめっこしながら
パズルのピースを埋めるような思考体験。
感想
他にない面白い体験ができるゲームなんだけど
ちょっとクセがつよいので遊び方注意、という感じのゲーム。
他の伝達系ゲームとの大きな違いが
解答者が自分で情報を取りに行くスタイル。
これがこのゲームの魅力のひとつであり
クセがつよい部分でもあります。
こういう↓
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秘匿情報を知ってる親がいて、それを明かそうとする子がいる伝達系ゲーム。
たいていの伝達系ゲームでは
秘密を明かすためのヒントとして、何を、どう教えるか、決定権があるのは親。
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「ファーストコンタクト」ではそれが逆。
毎ラウンド、何を教えてもらうか、子の方に決定権があります。
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これによって、他にはない独特なゲーム体験を生んでいます。
現物を目の前に持ってきて、「これ何?」って聞いて、意味が分かる単語を集めてる。
まさにそんな感じ。
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未知の言語の存在とコミュニケーションとるとしたら、リアルにこんな感じなんだろうなって、そんな体験を味わえます。とても楽しい。
でも、この
「回答者側が、何を教えてもらうかのハンドルを握ってる」
っていうシステムが、同時に、このゲームをキツいものにもしています。
よくある伝達系ゲームでは、
親は何が重要か知ってるので、優先順位が高いものから教えていくことができます。
でも、「ファースト~」では、
何が重要か知らない回答者側が、何を教えてもらうか決めるので、当然、遠回りになることもあります。
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また、よくある伝達系ゲームでは
情報の伝達ミス、かんちがいが起きたとき、親が仕切り直しができます。
「ディセプション」ならこういう修正ができるし↓
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「コードネーム」でもこういう仕切り直しができる↓
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「ファースト~」では
かんちがいが起きているときに、真実を知っている親側が、それを積極的に修正できません。
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これも難易度を上げています。
プレイしてみて、他のゲームより難しく感じた人も多いはず。
他のゲームでは勘違いがいくつかあっても、クリアできるけど
「ファースト」は1つ勘違いがあれば黄信号。3つもあれば迷宮入り…くらいの難易度。
さらに、このゲームをツラいものにしてるのが、
人間がウチュー文字を教えてもらうフェイズが時間的に長いこと。
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このやりとりを子の人数分やるので、けっこう時間がかかります。
遠回り前提のゲームなんだから、数うちゃ当たるって感じで
スピーディに質問→回答ができればいいんだけど
人間フェイズ、ひとりひとりの人間プレイヤーも宇宙人プレイヤーもじっくり考えちゃいがちなので、長くなります。
空振り多い、かつ、のろのろ進行 というのがだんだんつらくなってきます。
だからこのゲーム遊ぶときは、
意識して、人間フェイズはさらっと進めた方がいいでしょう。
宇宙人も人間も、さらっと。長考しないように。
ここで考えこめば考えこむほど、ダレます。
何度もやるのが当たり前。からぶってなんぼくらいの気持ちで。
ウミガメのスープとか、ピクテルみたいに、ハズしてもいいからガンガン質問するくらいのイメージで。
人間フェイズがテンポよく処理できるなら
味わえる体験は新鮮でけっこう楽しいです。
言葉が通じない存在との原始的なコミュニケーションは
未知の言語を研究する言語学者になった気分。
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そして、集まってきた文字を使って、メッセージの解読に挑戦するのは、
まるで、古代文字の石碑に挑む考古学者の気分です。
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何者かになれる、っていうのはボードゲームの楽しさの一つですよね。
やってみたかったシチュエーションを体験できるゲームです。
年末年始遊んだゲーム 今回の盛り上がり度
ブラッドバウンド ★★★★
アヴァロン ★★★★
マンカラ ★★
シャドウレイダース ★★
ブラフ ★★★★
テーベ ★★
ファーストコンタクト ★★
コンプレット ★★★
10デイズインUSA ★★
思い出を手にのせて ★★★
インカの黄金 ★★★
オークション狂騒曲 ★★